主催が企画破ってどうするんすかね。すみません。
お題は『なぞる手つきの温かさ』です。高井田さんと被っててすみません。
推敲できてないので、日本語変だったらすみません。すみませんばっかり。
みなさんの投稿も待ってます。待ってますうううううーーー!!!
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「あぅっ……くっ…あっ、あっ、カカシ、さ、あっ」
薄暗い室内。書棚には忍術の学習書などが並べられ、壁には幼い子供が描いた絵が貼られている。
イルカの部屋。
入るなり、イルカをベッドに引きずり込んだ。
後ろから片手でイルカの肩を押さえつけ、ただひたすら腰を振っている。
温かく締まるイルカの中から引き抜けそうになるまで腰を引き、容赦なく叩きつける。肉を叩くリズミカルな音に、ずちゅ、ぐちゅ、と水っぽい音が混じっている。
腹の奥の狭まりに亀頭を何度もねじ込むように腰を使うと、あっという間に、もう何度目かもわからぬ絶頂感が訪れた。イルカの中で、自身のそれがひときわ質量を増し、ギリギリまで怒張しているのがわかる。
「は、うっ……中で、出すよっ」
「や、待って、くださ、あっ、く、うっ……」
ぐっと腰を押し付け、イルカの最奥に射精した。ビュルリと熱がほとばしるたびに襲う快感を、歯を食いしばってやり過ごした。
未だ上下するイルカの背中を眺めていると、さっと心が冷え、おさまりかけた焦りが戻ってきた。硬さを失ったペニスをずるりとイルカの中から引き抜き、荒く息を吐きながらその隣にどさりと倒れ込んだ。
しばらくすると、ようやく息を整えたイルカがごろりと寝返ってカカシのほうを向いた。
「今日はえらく荒れてますね、何かあったんですか?」
「……別に、何も」
イルカの労わるような声色がいたたまれず、枕から顔を上げることができなかった。
昼時、珍しい場所でイルカを見かけた。
自分の裁量で動ける戦忍のカカシとは違い、昼休みの時間が限られているイルカは、余程のことがない限り、昼にアカデミーを出ることはない。
だが、いた。
カカシは上忍待機所でアスマと紅に誘われ、昼食を食べに外に出ていた。そこで何気なく目をやった店の中でイルカが食事していたのだ、女と二人で。
淡い栗色の髪を高いところで結った、色の白い女だった。気配から察するに上忍だろうか。カカシの知らぬ忍びだった。
「ねぇ、あれ誰?」
カカシが問うと、アスマがカカシの視線の先をちらりと見て言った。
「ああ、久しぶりに見たな。ありゃイルカの彼女だ。確か二年くらい任務に行ってたんじゃなかったか」
「二年半よ、でもとうとう帰ってきたのね。待ち遠しかったでしょうねぇ、イルカ。仲良かったから」
「そうなの?」
「ああ。なにしろイルカが惚れ込んでたからな」
「ええ。もう夢中って感じだったわよね」
店のガラス越しに見える二人は穏やかに微笑み合っていた。言われてみれば確かに、恋人同士の甘い雰囲気が漂っているように感じる。
そうか、イルカには恋人がいたのか。
「……そっか」
突然突き付けられた現実に、カカシは咄嗟に心を閉ざした。そうでもしないと、自分を保っておけそうになかった。
カカシは二人から目をそらし、後は黙ってアスマと紅について行った。何かを食べたのだろうが、何を食べたかも、どんな味だったかも一つも覚えていない。ただ、指先が冷えて、箸を持つ手が震えそうになるのを、必死で隠したことだけ覚えている。
そこからどうやって時間をつぶしたのか、夕方、イルカを待ち伏せし、アカデミーから出てきたところを捕まえた。
「ねぇ、今夜さ、セックスしようよ」
腕を掴んで鼻先でそう言うと、イルカがたじろぐのがわかった。
「ちょ、カカシさん、こんな往来でいきなり何を……」
「いいじゃない、オレたちってセフレでしょ。セックスしたいから誘ってんの」
「は? いやオレ、今夜はちょっと――」
断りの言葉に女の影がちらつき、カカシは常になく苛立った。
「ダメだなんて、言わせないから」
そう言って印を結び、瞬身を使ってイルカの部屋に飛んだ。
昼間の光景が目の裏に浮かび、胸が締め付けられた。
カカシがイルカに近づいたのは、明らかな恋情を自覚したからだった。二年前のことだ。しかし、イルカがあっさりと体を明け渡してくれたから、カカシはそれに胡坐をかいていた。今日、それに気づいた。
(オレはバカだ)
二年間、オレはあんたに何をした。二年もあったのに、気が付けばオレはあんたの体しか知らない。付き合ってほしいとも、好きだとも言わなかった。恋人らしいことすら、きっと一度もしたことがない。オレのものになったんだって浮かれて、オレはあんたになにもしてやらなかった。オレがバカだったせいで、あんたがあの女のところに帰るのを、指をくわえて見てなきゃならないのかもしれない。そんなこと絶対に許さない。でも、イルカがそれを望んだら、オレはどうしたらいいんだろう。
ぐう、とカカシの胸に苦いものがこみ上げ、震える手でたまらず枕を掻き抱いた。
「カカシさん、何もなかったにしてはずいぶん辛そうですよ。大丈夫なんですか?」
「……イルカせんせ」
「ええ、ここにいますよ」
カカシが顔を上げると、イルカが柔らかく微笑んでいた。
イルカの手がカカシに伸び、そっとその背を撫でた。
分厚くて、爪が丸くて、温かな、カカシの好きなイルカの手。
この温かな手で、あの女の背も撫でるんだろうか。愛撫するんだろうか。その低くて心地よい声で、あの女の名を呼び、あの女の中で果て、ずっと待っていたと、愛していると、言うんだろうか。
「イルカ……」
手を伸ばすと、ぎゅっと抱き寄せられた。
「もう、泣きそうな顔してますよ」
「……ねぇ、オレを抱いてよ」
あの女にするみたいに。あの女をどうやって抱くのか、オレに教えてよ。
「はぁ?」
「いいじゃない、オレたちセフレでしょ」
「本当にどうしちゃったんですか? 無理しなくていいんですよ、今日はもう休んだほうがいいんじゃないですか?」
「もっとしたい。でもオレ疲れたから、イルカ先生が腰振ってよ」
**
「くっ……は……」
見下ろした白い胸板が赤く染まっている。長い脚を片方肩に担ぎ、イルカが腰を打ち付けるたびに、カカシの口からこらえきれない喘ぎが漏れた。
油断すると、イルカの後口からは先ほど散々カカシが放ったものが、どろりと垂れ流れてくる。その心もとない感覚と、カカシの中から与えられる刺激に、今すぐにでも持っていかれそうだった。
カカシは両腕で顔を隠し、ただ苦痛に耐えているように見える。
「……っ、カカシさん、大丈夫、ですか?」
上がる息の中、努めて冷静に言った。
挿入前に、丹念にほぐしはした。だが、この感じはもしかして――
「あなた、抱かれるの、初めてなんじゃ……」
だが、荒く息をつくだけで答えないカカシの腕を掴んで引きはがし、顔を覗き込んだ瞬間、イルカの理性がはじけ飛んだ。
カカシは苦痛に耐えているのではなかった。イルカを見上げた目は潤み、眉根は悩ましく寄せられていた。カカシは快楽に押し流されまいと耐えていた。
「っ……カカシさんっ」
イルカはたまらずそのまま覆い被さって、カカシを抱きしめ、抉るように腰を突き動かした。
「うぁっ……あっ、あっ」
イルカの耳元を、カカシの低く控えめな喘ぎがくすぐるのがたまらない。
容赦なく腰を叩きつけ、一気に上り詰める。
「は、カカシさ、も、イク」
「ふ、イルカ、中で、出して、出し、なよ」
低く掠れた声で、カカシがそんなことを言った。
「も、あんた……っ」
イルカはがばっと上体を起こして噛みつくようなキスをし、そのまま果てた。
汗で湿った銀色の髪を撫でる。カカシはぐったりした様子で目を閉じていた。
(さすがにやりすぎちまったかなぁ、抱かれんの、初めてっぽかったのに)
さばけた台詞とは裏腹な必死な顔で誘うから、どうにも我慢がきかなかった。カカシがあんな顔をするなんて知らなかった。
だが、カカシにそうさせたのは自分だということをイルカは知っている。昼間、二年半ぶりに会った昔の彼女といるときに、カカシの気配を感じたからだ。その気配が明らかに動揺していたから、彼女とはもうきっぱり切れていると、近々フォローを入れておかないとと思った途端にこれだ。
(何がセフレだよ)
そんなこと、今まで一度も言わなかったのに。
確かにこの二年間、二人の間に甘い言葉はなかった。だが、甘い時間がたっぷりあったじゃないか。この調子じゃ、カカシは自分がどんな顔をしてイルカを抱いているのか、きっとわかっていない。イルカの体をなぞる手つきの、どれほど温かいことか。それが愛じゃないのなら、一体何が愛だというのだろう。
(大体なぁ)
おもむろにカカシの鼻をつまんだ。すると程なく、カカシの口が苦しげに開き、はぁ、と息が吐かれた。鼻から手を離すと、なにやら小さく不満げな声を出し、再び寝息が聞こえてくる。
(オレなんかの横でこんだけ油断してるのが、何よりの証拠じゃねーか。何したって起きやしねぇ)
すやすやと眠るカカシを眺める。
整って精悍な顔立ち、喉が隆起した首、筋張った手、長い指、無駄も隙もない体、投げ出された長い脚の付け根には、萎えていてもバカみたいに立派なペニスがぶら下がっている。誰がどこからどう見ても捕食者なのに、イルカに対してだけ、いきなり弱気になるから困る。
(この人、オレに翻弄されまくってる自覚、もしかしてないのか?)
はぁ、と大きなため息が出た。
「オレがあんたのこと好きなんだって、なんでそこに自信持たないんですかね。好きじゃなきゃ、いくらなんでも男なんかと寝ませんよ。二年だぞ、わかってんのか?」
呟いて鼻をつついたら、再び不満げな声が漏れた。
「まぁ、あんたは恋なんて、今まで知らなかったんだろうけどな」
幼少のころから戦場に身を置いてきたカカシは、特に長じてからこっち、他人と腹を割った関係などほとんど構築したことがないだろう。いわんや色恋をや、だ。
閨の技術ばかり器用な、不器用な男、それがカカシだった。
「でもいいですよ、オレが教えてあげます」
なんてったって、オレは先生だからな。
そう呟きながら、イルカはカカシを置いて、そっとベッドを抜け出した。
明日までに終わらせないといけない採点が山のように残っている。それを持ち帰ったから、今日は来るなと言いたかったのに。
「シャワー浴びないと始まんないな……」
互いのいろいろな体液でベタベタする体を撫で、同じくベタベタしているであろうカカシを振り返った。
「カカシさんは……まぁ、ほっとこう。起きて自分でなんとかしてくれ。オレは朝まで忙しい」
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パタリ、と寝室の扉が閉まった途端、カカシがはぁと息を吐き出した。
薄暗い天井を見ているうちに、じわじわと顔に熱が集まってくる。たまらず両手で顔を覆い、ごろりと一つ寝返りを打った。