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ssを書くことも、掲示板に書き込むことも不慣れですので、心臓が飛び出そうですが、この素敵な企画に参加したいの一心で送信ボタンを押したいと思います。
遅刻の上、2時間以上かかっています。趣旨に添えずに申し訳ありません。でも次のお題までに書けれてよかったです。
お題「セフレの別れ話で媚薬」
カカシは、目が覚めると病院の天井が一番最初に見えるっていうシチュエーションには慣れている。更に付け加えるなら、体がひどく重く、血液が鉛になって重力に従ってベッドへ埋められたんじゃないかってくらい体が動かない症状にも慣れたもんだ。
(ああ、またやっちゃった。)
チャクラ切れには気をつけているのに、何故かこうして倒れていることが多々ある。他のことなら一度犯した失敗は二度はないと胸を張って言えるのに、これだけは何度も繰り返してしまう。
目線を周囲へ移すと、見慣れた鞄が置かれていた。
(イルカ先生、もう行っちゃったか。)
それは所謂入院セットで、お着替えセットにちょっとした雑貨と現金にイチャパラ全巻が入っている。以前は病院のお仕着せの下着とパジャマを使っていた。パジャマは使用後回収されて洗って使いまわせるけど下着は当然買取だ。一週間いれば七セット溜まることになり、カカシの家には一か月分は同じ下着セットがあった。イルカがカカシの家で同じパンツばかりなのを見つけて呆然としていた時に説明したら、その場でゴミ袋に入院セットを作られて、次に入院したら、これ持っていきますんで、と言うことになった。ゴミ袋ではあんまりなので、適当な鞄を買い求め、入れ替えて今に至る。
何故、そこまでしてくれるのか。カカシはイルカとの関係を友達だと思っている。間違えてセックスしちゃったけど、恋人を作るつもりはなかったし、関係を切り捨てるにはイルカのことが好きだった。何故かセックスの回数は増えていき、気づけばセフレのカテゴリーだと気づいたのは最近だ。体を繋げた分だけ、友人よりも気安い関係になったのだろうか?
(いや、だって、先生の近くにいると勃ってきちゃうから。)
イルカがどう思っているかは知らないけど、カカシのことを気持ちよさそうに受け入れてくれるし、避けられたこともないから、問題はないのだろう。
その後もうつらうつら、半覚醒と睡眠を繰り返し、空が暗くなった頃、人の気配でしっかりと目が覚めた。
「あ、カカシさん、起きられましたか?」
「…イルカ先生?」
喉がくっついて声がうまく出ないのを察して、ストローを入れた紙コップを出された。確かそれらも入院セットに入ってたやつだ。
顔を気持ち傾けて吸い付く。あー美味い。生き返る。
「ありがとね。助かる。」
「ふふ、大袈裟ですよ。水汲んだだけです。」
イルカの声は耳障りが良い。
「いや、本当に感謝してるのよ?ただの友達にこんなに甲斐甲斐しくしてくれるの、イルカ先生だけだもん。」
「…え?」
あれ?想像してた反応が返ってこない。イルカの方を見ると、ひどくびっくりしたと言わんばかりの呆け顔をしていた。
「いえね、ほら、アスマなんて見舞いにも来ないし。友達って少ないからよくわからないけど、先生には本当に良くしてもらってるなって…。」
ああ、何かを間違えた。イルカがどんどん青褪めていって、言葉を重ねた分だけ、悪い方へ向かっていった。
「俺は、カカシさんにとって、友達でしたか。」
カカシは必死で頷いた。何故、彼が怒っているのかわからない。脳みその血の流れが遅すぎて、どうすれば良いのかも思いつかない。
「カカシさんは、俺のことをセックス込みの友人だと、そういうことなんですね?」
だって、そうだろ?なんか怒らせてしまって、悲しい。今日はもう帰ってくれないだろうか。
「…今日は、これで帰りますね。後は看護師さんにお願いしときます。」
思いが通じたのか、すんなりと帰ってくれた。
(よかった、起き抜けに怒鳴られるのは勘弁。)
ちょっと人恋しいけど、その時はそんなもんだった。
翌日、身体は昨日よりはマシだけど、まだ起き上がって歩くことはできないし、チャクラも上手にまとめることができない。そんな状態の時に、イルカはやってきた。しかも、何だかとてつもない決意を秘めた様で。
「…今日は、イルカ先生」
「今日は。」
にっこり笑うが、いつもより硬くって、いっそう何が起きるのかとドキドキした。
「今日お尋ねした訳は、ちょっとセックスしたくなりまして。」
(-はあ?今、セックスしたいって言った?)
何が起きようとしているのか、カカシは怪訝な顔をして応える。
「…はあ、ただ、生憎今は勃ちそうにありませんが…」
「そうですか、でも大丈夫ですよ。俺は勃ちますんで。」
イルカが悪い顔でニカっと笑った。あ、これってナルトが変なイタズラする時の顔だ。悪い予感しかない。
「ねえ、もしかして俺がイルカ先生に挿れられるの?」
「そうですよ。俺が挿れるんです。」
そろっとズボンに手を突っ込んで尻を撫でながら挿れる場所を突っつく。
(なんてこった!なんでそうなるの?)
カカシのあまりの戦慄具合に、イルカはちょっとビビらせすぎたか、と幾分声を柔らかくして言った。
「ちゃんと気持ちよくなる軟膏もあります。綱手印なので大丈夫なはずです。」
そういう問題じゃないことくらいイルカだってわかってるけど、止めるつもりはないのでそのまま軟膏を尻穴に塗り込んでいく。
「いや、えっ?あのっ?綱手様公認なの?」
「恋人だと思ってた人からセフレ扱いされてやり返したいって言ったら、快諾して、薬までくれました。」
力の入らない身体なのもあってか、順調に穴が緩んでいくのがわかった。
(俺の護衛は何やってんだ!)
潜んでいそうな所に目をやるが、何も変わらない。イルカがそれを見て更に爆弾を落とした。
「あなたの護衛してる暗部さんには爛れた関係の痴話喧嘩だから、見逃してほしいって言ってあります。身体チェックも受けました。」
「身体チェックって…脱いだの?」
「脱ぎました。」
「見られながらセックスすることになるよ?」
「全部承知済みです。」
「…ナルトだってそこまで捨て身の悪戯はしないと思うよ?」
「ナルトの話はしないでください。」
カカシは観念した。
これまでは、挿入する方であれされる方であれ、チャクラ切れの時に襲われたって暗部の護衛がいたし、後日ちゃんと落とし前をつけさせてもらった。
しかし、相手がイルカならば何処に落とし所を着けるのかもわからない。
(護衛も綱手様も覚えていろよ。)
イルカは無理でも彼らには、何らかの落とし前をつけさせてもらおう。カカシは心に誓った。
暗転
「はーーーーー」
「…終わった後にため息とか、失礼ですよ。」
イルカは特に後戯することもなく、自身からスルッとゴムを外して鞄の中のゴミ袋に入れてるらしい。次いで温かい濡れタオルを作り綺麗に清め拭ってくれる。もう恥とかは無い。
(別に…看護師にも拭かれているし。)
「…先生、上手だね。」
「でしょう。」
「セックスのことね。」
手が止まって顔の表情筋も固まっているイルカの顔が、急に赤くなった。
(よし、一矢報いた。)
お互いの身なりが整うと、イルカはセックスした後なんて思えないくらいあっさりと部屋から出て行こうとして、またうつらうつらしていたカカシの布団を整えながら言った。
「これでセフレの貴方とはお別れです。これに懲りたらチャクラ切れなんて起こさないことですね。俺と恋人になれそうになったら、また声かけてください。」
(半分眠ってる相手に、大切なことを言うって、どういう神経をしてるんだ。その前にフラフラの病人になんて無体を働くんだ。)
言いたいことは山ほどあったけど、結局カカシは、自分がイルカのしたことには目を瞑るってことを知っていたし、なんなら、イルカが挿れたい日はまたそうしても良いとも思っていた。あとはそこまで想う相手が、セフレカテゴリーであることに間違いと気づくだけで、二人はきっと恋人になれる。
- レピドプテラ
切ない!切ない~~、先生、切ない。
でもカカシさんが間違いに気づいてくれそうで、ハッピーエンドの予感、良かったです!
あっさり先生の側に付く、暗部と綱手様、気持ちわかります!
不慣れとはとても思えない面白いお話、ありがとうございました!