『セフレの別れ話で媚薬』で参加いたします。
遅刻で途中ですが2時間ぶんがんばりました!
〇〇●
しまった、と思った時にはたいがい遅い。
『セフレの別れ話で媚薬』
その一、別れ話は人前で。
その二、時間は区切るべし。
その三、「最後の一回」には絶対頷いちゃいけない。
卓上で握られた手を振り払い、逃げ込んだ個室で別れ話三原則を繰り返す。
特に三番目が大事だ。最後の一回は絶対に駄目だ。自分よりも強い相手がしおらしい態度を見せたところで、うっかり絆されたら頭からばりばり食われてしまう。それも悪くないと思っていたから関係を続けていたのだけれども、イージーな肉体関係はハードな現実の前には無力だ。いつまでもやり過ごしているわけにはいかない。現実には立ち向かわねばならないのだ。手に手を取り合い、隣に立ち、支える人間が必要だ。
深呼吸で気持ちを整える。
席にいるのは、これから里長になろうとする男なのだ。そんな人間が伴侶も持たずに男とよろしくやっているなんて、外聞が悪いにも程がある。一度得た熱を手放すにはあまりに惜しいが、いつまでも瞬間の高揚に逃げているわけにもいかないだろう。お互いに。
切り捨てるのも、愛情だ。
平手でごしごし顔を擦り、両頬をぴしゃりと張って気合を入れる。
席に戻ると、カカシさんと飲みかけの酒が俺を待っていた。
「おかえり」
カカシさんは少しばかり悲しそうに笑って、手酌で酒を注ぐ。ぐいと飲み干して徳利を俺に向けてきた。気づまりな別れ話を切り出すのにやたらと酒を消費したせいで、もう飲みたい気分じゃなかった。でもカカシさんは困ったように首を傾げた。その表情に、俺は弱い。
「これを飲んだら元通り、ね。上司の酒が飲めないなんて言わないでよ」
茶化す声音はいつもの通りで、上司という言葉から、提案が受け入れられたのだと安堵した。固めの盃ならぬ別れの盃、おしまいを二人して飲み込んで、次に会う時は彼は上司で自分は部下だ。寂しさを押し込めて笑顔で受ける。なみなみ注がれた酒を一息に飲み干したのだ。
つくづく、甘かった。
落っこちるように目が覚めたら知らない場所だった。うすら寒いのに体が芯から熱い。知らないにおいと背中に直接触れる敷布の感触、五感が一斉に違和感を訴える。
動悸。
息切れ。
眩暈。
「ああ、起きた?」
視界に割り込んだ銀髪で、状況を理解した。理解はしたが、受け入れたくない。こんなに自分が馬鹿だったなんて。
「……おれに、なにしました」
「わかるでしょ?」
「あの、さけ」
「そーそ。前に試したことあるもんね」
むきだしの胸を白く長い指がたどる。それだけで震える自分のあさましさにほぞを噛む。一服盛られたんだ。
酒席の途中で席を立つなど迂闊だった。まして相手は凄腕の上忍。自分よりも一枚も二枚も上手の相手に別れ話を切り出して、無事に帰れるはずがなかった。まあ多少の問答程度で収まるだろうと楽観した俺が愚かだったのだ。
動悸息切れ眩暈。ご老人でもあるまいに我が身へ起きた変化は、薬物由来に他ならない。綺麗さっぱり抜けるわりには効果は抜群かつ速攻で、それを知ってるのも彼の言う通り、使ったことがあるからだ。あの夜は酷かった。どれだけイっても終わらなくて死ぬかと思った。
「最後に一回、ってお願いしたって聞いてもらえなそうだったからさ。勝手にさせてもらいました」
カカシさんが薄笑いを浮かべる。意地の悪い顔だ。絶望に囚われる。
この顔をされたら、もう逃げられない。掠れ声も出ないくらい泣かされて、足腰が立たないくらい突っ込まれる。
震える後孔に指先が触れる。条件反射のように粘膜のあわいがあさましく開き、軽く押し当てられただけの指先を求める。「素直だねえ」と揶揄うように円周をなぞりながら、カカシさんは喉奥で笑う。
「こっちもがちがちだね。涎垂らしてる」
ぬるりと忍び込んだ指に刺激されて、簡単に前は固くなる。握り込んで雁首をひっかき、溢れ出た雫に道筋をつけるように幹へなぞり下ろす意地悪な指。嫌になる程、気持ちいい。
「ひどい、なん、で」
「んー、俺もね、反省してるんですよ」
反省? この男には何とも似合わない言葉だ。
「なに、を」
「教育が足りなかったんだなって。こっちの穴はさ、しっかり俺に懐いてくれてるけど。あんたのでっかいちんぽをほっといてた。もったいないことしたね。あんたは俺じゃなきゃダメなんだって、もっとちゃんと教えてやるべきだったんだ」
腹の上に乗り上げたカカシさんはローションを俺の胸へ垂らす。固めの粘液がどろりとわだかまったところをわざとらしく乳首を引っ掻きながらぬるぬるかき混ぜ、ぬらりと粘液で光る指先をこれ見よがしに目の前で開き、糸をひく様を見せつける。体温を帯びたぬめりをカカシさんがゆっくり自分の後ろ側へ持っていくのを、信じられない気持ちで見ていた。
「あああもう、やだ、やだああ!」
「ん、っふ、ああ、いいよせんせ」
ひどく熱くて、狭くて、気持ちいい。逃げたくて仕方ないのに、意地悪な長い足は俺の胴に絡まって、踵で強く腰を押す。引けた腰を逃すものかとばかり押さえつけられ、そのたびに堪らない刺激が根本から先端までを絞り上げる。
頭がおかしくなりそうだ。
大きく広げたカカシさんの足の間に囚われて、気づけば泣きながら腰を振っていた。
口で扱かれたことは、ある。唾液をいっぱい溜めていやらしい音を立てながら俺のちんこをしゃぶり、美しい顔が歪むのが好きだった。敏感な先端を嬲られながら後ろをぐちゃぐちゃにかき回されるのが好きだった。
でも、こんなの知らない。舌が絡み上顎を舐め上げ、カカシさんの中がぎゅっと締まる。
食い尽くされる。
飲み込まれる。
組み敷いたカカシさんの白い肌に朱が上り、艶を帯びた目元はぞっとするほどの色気を湛えている。
両膝に手をかけて大きく割り開き、奥に叩きつける。背骨からつむじまで快楽が電流となって走り抜け、応えるように狭まる腸壁に絞りあげられてあっけなく吐精した。
「あー、気持ちいい。最高だよ先生」
吐き出した精の余韻で痙攣する背中から腰にかけてをカカシさんの手が優しくさすり、こぼれた涙をあたたかい舌が舐め上げる。尿道に残ったぶんまで吸い出すみたいにカカシさんの中がうねって、強い腕に抱きしめられた。
- 虫
- レピドプテラ
受けても雄々しいカカシさん格好いい!!先生に媚薬を飲ませる姑息さも最高です。滾ったー!すけべ最高です。ありがとうございました!